覆面


昨日の夕方、私は鎌倉から東京方面へ向かっていた。
梅雨明けの、夏空。
ギラリと日差しが照りつける、夏の首都高湾岸線
絵に描いたような、ドライブ日和だ。
(もちろん私は仕事で、助手席で揺られていました。)


3車線で路肩も広いのに、
飛ばしている車はほとんどいない。
100kmから120kmで車が流れている。
私の乗っていた車も、まん中の車線を110kmくらいで走っていた。
5〜6台が集団になって、のんびりした雰囲気がただよう。
ふと見ると、制限速度は80km。
こんなに広い道で、80はないだろう?と思う。


そうこうしているうちに、横浜にさしかかったころだった。
いちばん右の追い越し車線から、ゴールドのセドリックが追抜きをかけてきた。
そして、私の乗っていた車の200mくらい前方でいちばん左の走行車線に移動した。
運転席と助手席に、ヘルメットをかぶったオッサンが乗っている。
いわゆるひとつの覆面パトカーだった。


『覆面来ましたね〜。』
『こんなに広い道で、制限速度を80kmにしておけば、警察も捕まえやすいよな〜。』


などと話していると、
追い越し車線を、ピカピカの黒のハーレーが気持ちよさそ〜に走ってきた。
110kmくらいで流している私たちの車の集団を、ゆっくりと追抜いていく。
黒のプリントTシャツに、黒いジーパン。
手にはグローブも着けていない。
カイバイクに乗っている割には、ずいぶん軽装だ。


買ったばかりのハーレーで、ちょっとナラシがてら
湾岸を流しに来た・・・と言った風情だ。


速度も、まあ、せいぜい130kmくらいしか出していないだろう。
そんな、のんびり走って気持ちよさそ〜なハーレーが走り去ると、
いちばん左の走行車線を走っていた覆面パトカーは、
いきなりいちばん右の追い越し車線まで、一気に車線変更し、
(あの進路変更の速さは、道路交通法違反だと思う。)
追いかけていった。


ハーレーさんは、覆面に気付く様子はない。
たぶん、あまりの気持ちよさに、後を見ていなかったのだろう。


『あ〜、捕まっちゃいますね〜』
『どうだろう。あんな気持ちよさそうなハーレー捕まえるんすかね〜。』


しばらく、追尾したあと、覆面パトカーの屋根に回転灯がパカンと飛び出て、
赤いランプがくるくる回った・・・。


捕まってしまったようだった。
路肩に寄って、止められた。


カワイソウに。


制限速度80kmだから、
120kmで走ってても、40kmオーバー。
罰金10万くらいかな?。
確実に免停だ・・・。


警察もひどいことするもんだと話ながら
湾岸線をひらすら走っていると、
さっきの黒いハーレーのおっさんが、
Tシャツをビラビラとはためかせながら、
すさまじい速度で、私の乗る車を追抜いていった。
まあ、160kmかそれ以上は出ていたことだろう。
よっぽどアタマにきたのか?(笑)


『早いなあ。もうキップきってもらったのかな?』


などといっていると、今度はさっきの覆面パトカーが私たちを追抜き、
またまた、私たちの車の前方でいちばん左側の走行車線に入り、
獲物を待つ体制に入った。(笑)


しばらくのち、今度は食品でも運んでいそうな2トントラックが、追い越し車線を走ってきた。
急いでいるのか?140kmくらいだろうか、結構速い速度で追抜いていった。
次の瞬間、また覆面パトカーは、一気に追い越し車線まで車線変更し、
追いかけていった。


今度は、回転灯が回るところは見られなかったが、
数分後、路肩で止まっているトラックとパトカーを見た。


そんなわけで、昨日は一日に2件も覆面パトカーの捕り物を目の当たりにしてしまった。
ビデオでも持っていれば、覆面の怪しい動きを録画できたのだが、残念。


覆面パトカーを走らせてキップを切るより、
普通のパトカーを走らせたほうが、
事故件数も、違反件数も減ると、
新聞に書いてあるのを、ちょっと前に読んだ。


高速の覆面パトカーによる取締りは、いらないと思った。


だいたい、高速で覆面パトカーが、
メルセデスとかBMWとか、
フェラーリとかアウディーとか
すっ飛ばしている車を捕まえているのを、
一度も見たことがないなぁ。